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書籍:「カーライル」

書籍:「カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略」(★★☆)

コメント:
世界最大級のプライベート・エクイティ投資会社カーライル・グループの日本戦略に関する書籍。

非公開を是とするプライベート・エクイティ投資会社に関して非常に良く調べてあり、著者の不断の努力が垣間見える。一方、その代償としてカーライル寄りの仕上がりになっているのは残念な所である。

例えば、「カーライル・グループのように三~五年という一定の長期間において株主の立場で経営陣と一緒に企業の舵取りを担っていくという遣り方は、ガバナンスの問題に対する現在考えられる最善策の一つであると言える」との記載があるが、これはカーライルだけに限った事ではなく、プライベート・エクイティ投資では目論見書に記載される一般的なPolicyである。また、三~五年が中・長期投資=友好的という印象を与えるが、ファンドにとってのExitとはIPOか他社への売却な訳で、現在の様な市況では、多少強引とも思えるExit戦略を模索する可能性は否定出来ないだろう。

但し、それでも★3つでも良いくらいの良著であると思う。

先ず、投資信託、ヘッジ・ファンド、アクティビスト・ファンドといったカテゴリーのファンドは、主として公開市場で取引されている広義の金融商品に投資をする。これに対して、市場以外の部分で取引される商品に対して投資を行なうファンドを総称してプライベート・エクイティと呼ぶ。

そして、カーライル・グループのようなプライベート・エクイティ投資会社は、主に以下の三ケースの投資を行なっている。
1.子会社の独立、事業部門のスピンオフ等による親会社の制約からの開放
2.上場企業には困難な中長期視点に立った大胆な改革を伴う非連続的成長の実現
3.オーナー企業における事業承継に対する抜本的対策。具体的には、創業者一族の株式の散逸対策、キャッシュアウト機会の提供、資本構成の再構築など。

そして、MBOを含めM&Aは、最初の180日で決まると言われている。

この180日の間に、ファンドは色々な施策を打つ訳であるが、本書では終始「コミュニケーション」を重要視している。コミュニケーションには色々な側面があるが、本書籍の表現を借りれば、投資という観点で考えれば価格とかプロセスとかは、ある意味手続き論、ある意味表面的な仕事。本質は、投資した後にその企業の価値をあげることに貢献できる能力があるかどうかとの事。

例えば、投資実行当初、被投資会社の業績は芳しく無い訳だが、コミュニケーションを通じて、現場にある「なぜ負け続けてきたか」という理由を把握する事が最初の仕事になる。

また、メーカーの経営陣の存在意義と、ファンドの存在意義というものは本来一致しない。メーカーという存在は、金儲けだけを目的としている訳では決してない。いい製品、いいサービスを顧客に提供し続けること。企業価値は、その結果に過ぎないと考えている。このギャップを埋めて信頼関係を築くにもコミュニケーションが大切である。

更に、幹部を辞めさせる場合には証拠が必要。きちんと証拠を集めて示すことで、実は訴訟回避の準備をきちんと行なっている。同時並行でヘッドハンターに、後釜の依頼の手もきちんと打つ。

「コミュニケーションが大切である」というのは、よく聞く話であるが、言うは簡単だが、実行するのは難しいという事だろう。

また、バイアウト・ファンドが買収した企業に与えられる付加価値とは、成功した投資事例においては「成長」「実施的経営サポート」「持続的成長のためのガバナンス構築」である。カーライルの付加価値提供の方法も興味深い。

例えば、カーライルが投資したウィルコム案件では、カーライルのジャパンチームはウィルコム社内に常駐、様々な議論や情報収集に当たっている。但し、チームは執行マターには口を出さない。つまりラインとしての仕事や権限を持つことはない。あくまで現場の人々とコミュニケーションしながら今起きていることが何で、それが組織にどのような影響を及ぼしているかを把握することに努めている。

本来の意味での社外取締役というものは、その業界をよく分かっている人間でないと難しい。よく大企業で他業界の重鎮を社外取締役として招聘しているケースがあるが、それでは所謂アドバイザー的な役割しか果たせない。これに対して、カーライルはチームとして活動しているという訳だ。

この手法は、大企業の連結経営においても活用出来ると思う。
単に親会社の役職者だから社外取締役に就任する、親会社だから子会社を管理するという遣り方で子会社を成長させるには限界がある時代になったのではないだろうか。

また、ルービックキューブに模して語られるカーライルの「ワン・カーライル・コンセプト」も面白い。
このコンセプトは、具体的には、不動産ファンド、バイアウトファンド、ベンチャーキャピタルそしてレバレッジド・ファイナンスの四つのファンド商品が一つ目の軸、主要な業種における業界ノウハウが二つ目の軸、そして地域展開が三つ目の軸であり、これら三軸のキューブが生み出す付加価値の最適を求めて、ルービックキューブを動かしながらプロフェッショナルのノウハウを集めていく概念である。

カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略
(2008/05/16)
鈴木 貴博

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Author:eboys
日本にてWirelessおよびMedia関連のM&A業務を担当後、米国Silicon ValleyのVenture Capital FirmにてIT分野を担当。
現在は、日本に帰任、財務・会計部門に在籍中。
email: eboys.2005@gmail.com

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